体と心を磨く、ウォーキング

  • [ ヘルスケア ]
  • 公開日:2023.02.20

日常生活の中で手軽にできるウォーキング。通勤や通学、買い物など、ふだんの道のりを少し遠回りして歩いてみると、新しい発見があるかもしれません。遠出して見知らぬ土地を徒歩で巡るのも一興。気分も変わり、単なる「移動」から「楽しみ」に。歩くことが体と心にもたらす効果はさまざまです。「歩く」にまつわる知識を深め、最初の一歩を踏み出しましょう。

歩くとなぜいい?ウォーキングの効果

運動不足解消や気分転換のためなど、歩く人が増えています。心身の健康をもたらすのはもちろん、街づくりやコミュニティ形成への影響も。歩くことにはさまざまなメリットがあります。

監修:加藤俊徳先生(脳内科医・医学博士)

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ウェルビーイング

"ウォーカブル(歩きやすい)"が街づくりのキーワードに。

近年、国土交通省が「居心地が良く歩きたくなるまちなかづくり」を推進するなど、"ウォーカブル"な街づくりが注目を集めています。豊島区と地元企業によるプロジェクト「IKEBUKURO LIVING LOOP」では、ストリートファニチャーの設置やマーケットの開催などにより街中の回遊を促進。歩いて楽しむ日常は、ウェルビーイングな暮らしにつながります。

IKEBUKURO LIVING LOOP
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ポイントが貯まる

サステナブルな移動手段で、ポイントを貯めて利用。

歩数や移動距離に応じてポイントが貯まるアプリが増えています。ナビタイムジャパンが提供する「moveco(ムブコ)」は日常の移動でマイルを貯めるアプリ。より環境負荷の少ない移動に対して多くのマイルが付与される仕組みで、徒歩での移動でマイル数がアップ。エコに取り組む企業と連携しており、貯めたマイルで寄付やギフト券と交換などができます。

moveco(ムブコ)
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「健康寿命」を延ばす

歩くことで血液循環が促され、病気のリスクが下がり、将来のQOLが向上。

「人生100年時代」を楽しむためには、健康寿命を延ばすことが大切。消化や吸収、排泄などに関わる腸管運動が悪くなるとガンのリスクが高まるといわれていますが、ウォーキングをすると内臓の血液がよく循環し、腸管運動が促進されます。認知症も血液循環の悪化が一因とされており、1日1時間以上歩くことでリスクが下がるというデータも。

人生100年時代
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脳が活性化する

ウォーキングで手足を動かすことで、脳のネットワークが強化。

脳は部位によって果たす役割が異なりますが、運動を司る領域「運動脳」は大脳の中で最も早く発達し、脳が持つ全ての機能の基本にその存在があります。脳の特定の機能を担う部位はネットワークを構築して互いに連携しており、ウォーキングで「運動脳」を鍛えるとそのネットワークも強化され、脳が活性化することがわかっています。

運動を司る領域「運動脳」

引用:加藤俊徳著『最強のウォーキング脳』(時事通信社)より

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仕事や勉強が捗る

ウォーキングは脳と体、両方の準備運動になる。

脳と体はリンクして働くため、脳が働けば体も働き、体が働けば脳も働きますが、「体の疲れ」=「脳の疲れ」ではありません。例えば、起きてそのままデスクワークを始めると疲れを感じやすくなりますが、この疲れは準備運動ができていないまま脳を使ったことによるもの。ウォーキングをすると、脳のスイッチが入りやすい状態になり、仕事も捗ります。

仕事や勉強が捗る

ウォーキングシューズの選び方指南

ウォーキングをはじめるなら、靴選びから。自分の足の実寸を知っている人は意外と少なく、多くの人が適正なサイズの靴を選べていないといいます。自分の足にぴったりの一足を見つける手がかりを、靴合わせのプロに教えてもらいました。

教えてくれたのは…木下竜太さん
シューフィッター。約10年にわたってミズノでスポーツシューズの販売に携わり、多くの人々の足の形やサイズ、用途に合わせたぴったりのシューズを提案している。インソールをつくる資格も持つ。

足の実寸を測る

ステップ1

足の実寸を測る

日本では「足長」と「足幅・足囲」をもとに、JIS規格で靴のサイズが定められています。長さだけでなく幅も測り、自分の足の実寸を把握しておくことが大切です。「足長」は平らな場所に立ち、両足を平行に開いて均等に体重をかけた姿勢で、かかとの後端から最も長い足指の先端までの距離を測定。「足幅」は同じ姿勢で、親指と小指の根元の骨が出っ張った所の水平距離を測定します。

靴のサイズを選ぶ

ステップ2

靴のサイズを選ぶ

足の大きさは左右で違うことが多いので、大きいほうの足に合わせて靴を選びます。試し履きする靴からインソールを取り出し、かかとの位置を合わせて足をのせたとき、つま先に指1本分程度の余裕があるのが理想的です。靴を履いて歩いてみて、つま先や甲、くるぶしが当たらないか、かかとが浮き上がらないかなどをチェック。違和感があれば長さと幅の組み合わせを変えてみたり、ほかのモデルを履き比べてみたりしましょう。

正しい履き方を知る

ステップ3

正しい履き方を知る

サイズの合った靴を選んでも、正しく履けていないと意味がありません。靴を履く際は、毎回、靴ひもを緩めた状態で足を入れ、床にかかとをトントンと当ててかかとをきちんと合わせること。足首を直立姿勢と同じ90度に保ち、靴ひもがクロスしている部分をつま先側から順に引っ張っていき、足の甲にしっかりフィットさせてから結びます。正しい履き方をすることで靴の機能を発揮でき、疲労軽減や怪我の予防に。

インソールで補正する

ステップ4

インソールで補正する

扁平足やハイアーチなど、生まれつきの足の形は人それぞれ。歩行の癖や加齢によっても足の形は変化します。必要に応じて元々靴に入っているインソールから、目的に合ったインソールに入れ替えることで、歩きやすさがさらにアップ。インソールは既製品のほか、カスタマイズやオーダーメイドするタイプのものも。足の骨格を安定させて理想的な足の形に近づけるため、本来足が持つ機能をサポートしてくれます。

コラム

足のサイズを定期的に測り、自分の足に合った靴を履こう。

多くの人が適正なサイズよりも大きい靴を選んでしまっているといいます。足に合っていない靴を履いていると靴の機能を十分に発揮できないだけでなく、足のトラブルを引き起こす可能性も。年齢を重ねて筋力が低下してくると影響が大きくなるので注意が必要です。

「歩き」に特化した機能設計がパフォーマンスを高める。

ウォーキング用の靴はソールが硬め・重めで安定感があり、振り子の原理で足を前に出しやすいように設計されているため、疲れにくくなっています。長距離用であれば革製で耐久性も◎。一方、ランニング用は衝撃吸収性や軽さを重視。それぞれ機能が異なるため、目的に合った靴選びが大切です。

※この記事は、会報誌Brillia 109号(2023年2月発行)より再編集した記事です。