デリケートな素材や厚手のものが多い冬物の洗濯はクリーニング店に任せがちですが、自宅で水洗いしたほうが清潔になることも。手間なくきれいに洗えるだけでなく、衣類を傷めず長持ちさせる洗濯術をご紹介します。
取材協力:茂木貴史さん(洗濯ブラザーズ)
国内外の有名アーティストの衣装クリーニングを手がける。クリーニング店「リブレ」を横浜に続き、2021年9月、世田谷区の三宿に2店舗目をオープン。オリジナルのナチュラル洗剤も好評。著書に『日本一の洗濯屋が教える 間違いだらけの洗濯術』(アスコム刊)がある。
市販の衣類には素材と洗濯方法を表示したタグなどがついています。誤解されがちですが、ドライマークは「ドライクリーニングができる」という意味で、それしかできないという意味ではありません。皮革やレーヨン、キュプラなど水に弱い繊維などを除いて、スーツや学生服、ダウンジャケットなど、ほとんどの衣類は家庭で洗うことができます。
ドライクリーニングは衣類の風合いを損なわず、油汚れに強いのですが、水溶性の汚れは不得意。汗などの汚れは水洗いのほうがきれいになります。大切なおしゃれ着を美しく着続けるためには、断然手洗いがおすすめです。面倒に思えるかもしれませんが、10分以内に終わって意外に簡単。ちょっとのコツをおさえるだけで、仕上がりに差が生まれます。
ウォッシュタブや洗面ボウルに水を張り、中性洗剤を測り入れてよく混ぜる。ウールやカシミヤなどの動物繊維は特に水に弱いため、水に洗剤をしっかり溶かしておくことが大切。
裏返した衣類を両手のひらで洗剤液に押し沈め、衣類の下に手を入れて浮き上がらせるようにする。これを3分ほど繰り返し、洗剤液を繊維に行き渡らせる。
衣類を裏返しのまま折りたたんで洗濯ネットに入れ、洗濯機で1分脱水する。衣類に対して洗濯ネットが大きいと中で洗濯物が動いて擦れてしまうため、余った部分は縛っておくこと。
脱水が終わったら洗濯ネットから取り出し、ウォッシュタブや洗面ボウルに新しく水を張って、押し洗いと同様のやり方で1分ほどすすぐ。
再び洗濯ネットに入れて洗濯機で1分脱水。ニットは型崩れしないよう平干しにする。厚手のコートは下から上にサーキュレーターで風を当てると乾きが早い。
ポイント1
中性洗剤と水を1:1でスプレー容器に入れて軽く振り、プレウォッシュ(前処理)液を作ります。汚れているところに吹きかけたら、洗濯ブラシで軽く叩いて、10分ほどおいてから洗濯しましょう。
※プレウォッシュ液は一週間で使い切ること。
ポイント2
アウターやおしゃれ着など、頻繁に洗濯しづらい衣類にはスチームアイロンが効果的。シワやニオイをとるだけでなく、高温による除菌効果も期待できます。
せっかくきれいに洗い上げた衣類も、保管の仕方によってはカビや虫がついてしまうことも。
シーズンが終わった後に長期間保管する際は注意が必要です。
ポイント1
閉め切ったクロゼットはカビにとって絶好の生息場所に。ぎゅうぎゅう詰めは避け、こまめに開閉して空気を動かすことで湿気を除去。湿度の低い、カラッと晴れた日に衣替えすると、衣類に湿気を含むことなく入れ替えできます。
ポイント2
虫は上から下へと縦に食べ進めるので、たたんだニットなどを上下に重ねてしまっていると、全てダメにしてしまう恐れも。被害を最小限にとどめるためには、衣装ケースの中で立てて収納するのがおすすめです。防虫剤も忘れずに。