「手前みそですが…」という言葉があるように、昔はどこの家庭でも手前(自家製)みそをつくるのが普通で、それぞれ味わいや風味が異なり、まさに「家庭の味」でした。そんな手前みそ文化を残していくため、「食」と向き合うきっかけづくりとして、手前みそ教室は開催されています。
元々、公民館や小学校などに出向いて催していましたが、だんだん回数が増え、食にまつわるイベント用のスペースとして〈KANENTE〉を建てたのが2016年のこと。毎年12月から4月の間、ここで週4回ほど開催する教室に、幅広い年齢層の方が参加しているといいます。
「うちの教室では大豆が煮てある状態からスタートで、みなさんにやってもらうのは混ぜて、こねて、丸めるだけ」と洋子さん。初めてでも失敗なくできて、参加した人は満足げに帰るそう。
仕込んだみそは持ち帰って各自で発酵を管理してもらい、食べられるのは半年後。おいしくできたら配りたくなるようで、お裾分けしてもらったみそがおいしかったから、と教室に来る方も多いのだとか。
みそづくりのキットも販売しているので、教室で作り方を覚えたら、2年目からは自宅でつくってもらうことを想定していたという二人。ところが、教室を続けていて、リピーターが多いことに驚いたといいます。
「毎年ここに来てみんなで仕込みたいという方が多いのは発見でした。ここではもう8年続けていて、みそづくりがみなさんの年中行事になっているみたいです」(洋子さん)