見極めポイント❶
ぐらつき
釘やネジを使わず木材同士をつなぎ合わせた木製家具は、メンテナンスする前提でつくられているもの。人によって椅子に座るときの癖があり、アームがあるものであればどちらか片方が緩みやすくなることもあります。そのまま使っているとほかに負担がかかり、急に折れたりと危険。自己流に応急処置せず、プロに任せるのが安心です。
家具は毎日使う生活の道具で、使っているうちに汚れたり傷がついたりするもの。適切なケアでよい状態をキープすれば、気持ちよく使い続けられます。お気に入りの家具を長く使うためのメンテナンス方法を、家具リペアの専門家に教えてもらいました。
Photographs: Yuko Kawashima
素材別のセルフケアの方法
家庭で使う家具の多くは木材を加工したり、木材に布や革などの異素材を組み合わせたりしてつくられています。風合い豊かな自然素材は定期的に手入れすることで美しく経年変化し、味わいがさらに深まります。
ヤスリを掛けて汚れや傷を取り除いた後、木部にオイルを浸透させることで、乾燥による反りや亀裂を防ぎます。
年に1度を目安に、温度と湿度のバランスがいい春か秋に行うのがおすすめ。
革は肌と一緒でデリケート。ひび割れを防ぐために油分を与えると、ツヤ感もよみがえります。
年に1度を目安に、温度と湿度のバランスがいい春か秋に行うのがおすすめ。
きれいに見えても、布目を通して中までホコリや汗などの汚れが入り込んでいます。洋服と同じようにブラッシングを。
週に1度を目安に。こまめにホコリを落とすだけで生地の持ちが違います。
プロのメンテナンスに
出すタイミング
張り地が擦り切れたり、塗装が褪色したり、表面的な変化に目が行きがちですが、見えないところに注意が必要です。座面の中の構成材が劣化していたり、フレームが緩んでいたりすると、事故につながる恐れもあり、壊れてからだと修理費用も高額に。タイミングを見極めて購入店やメーカー、家具リペア専門店に相談しましょう。
釘やネジを使わず木材同士をつなぎ合わせた木製家具は、メンテナンスする前提でつくられているもの。人によって椅子に座るときの癖があり、アームがあるものであればどちらか片方が緩みやすくなることもあります。そのまま使っているとほかに負担がかかり、急に折れたりと危険。自己流に応急処置せず、プロに任せるのが安心です。
布張り・革張りのチェアやソファなどは表面の張り地はきれいでも、座面の中材が劣化していることも。ウレタンフォームの加水分解が進むとボロボロになり、ハウスダストの原因になってしまいます。へたって反発しなくなったり、座り心地が明らかに変わったりしたら、なるべく早くメンテナンスに出すのがおすすめです。
家具のリペアでは現況回復して使えるようにするだけでなく、座面を好きな生地で張り替えたり、フレームを塗装して色を変えたりとアップデートして楽しめます。子どもが独立して家族の人数が変わるときや、引っ越し先の間口が狭くて大きい家具を搬入できないケースでは、ダイニングテーブルの天板をカットしてサイズを縮めることも。手を加えつつ、家具を育てていくことでより愛着が増していきます。
西原弘貴さん
家具修復師・フィズ リぺアワークス代表
1971年、東京生まれ。大学卒業後、輸入インテリア商材メーカーやリペア施工会社などを経て、2003年に「フィズ リペアワークス」を設立。2012年には家具修復の専門「vise」をオープン。マテリアルメーカーや企業とのコラボレーションでワークショップなども行っている。
https://www.fizz-r.com