キッチンから始めるサステナブルな暮らし

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  • 公開日:2024.12.23

家庭で揚げ物などに使った食用油(廃食油)は、適切なリサイクル処理を行うと、石鹸や肥料・飼料、SAF(持続可能な航空燃料)などに生まれ変わります。循環型社会の推進を目指す東京建物グループの「すてないくらしプロジェクト」の一環として、廃食油回収に取り組む〈Brillia 多摩センター〉を訪ねました。

身近な廃棄物を削減し、循環する仕組みづくり

マンションのごみを減らすために

「すてないくらしプロジェクト」とは、東京建物グループが推進する、マンション向けの廃棄物削減に向けた取り組みです。「循環すると、社会も私も快適になる。」をコンセプトに、2024年1月より、引渡し済みのBrillia大型物件から本格的にスタートしました。

各家庭から出る廃食油や使わなくなった衣類・おもちゃなどの生活雑貨を回収し、リサイクル&リユースする仕組みをつくり、入居者や管理組合の皆さまとも協力しながら、それぞれのマンションの特性に合わせて導入を進めています。

また、「暗い・汚い」というごみ置き場のイメージを一新して分別をわかりやすくするなど、廃棄物削減に対する意識向上につながる取り組みも行っています。

マンションのごみを減らすために

トライアルで予想以上の廃食油を回収

「すてないくらしプロジェクト」の一環として、〈Brillia 多摩センター〉の管理組合協力のもと、2023年にトライアルという形で廃食油回収の取り組みが実施されました。

ごみ置き場に回収ボックスを設置してスタートしたところ、最初の1カ月だけで約45kgの廃食油が集まりました。これを年間ベースに換算すると、約1.5tのCO2排出量を削減できる量に相当します。

トライアル終了後も継続を望む声をいただいたことにより、〈Brillia 多摩センター〉では継続して正式にこの仕組みを導入することに。現在も廃食油の回収を継続しています。

トライアルで予想以上の廃食油を回収

子どもたちがプロジェクトをお手伝い

今回の取り組みに大きく貢献したのが「こどもサポーター」の存在。未来を担う子どもたちや若い世代の意見を取り入れ、行事やプロジェクトに積極的に関わることで、将来的な世代の循環を目指す、〈Brillia 多摩センター〉独自の制度です。

廃食油回収プロジェクトでは、住民主導で廃食油回収を周知する動画ポスターを作成し、こどもサポーターに出演してもらいました。完成した動画ポスターは共用部にあるデジタルサイネージと公式LINEで配信。子どもたちが周囲に積極的に呼びかけてくれたおかげで、より多くの住民への周知につながっています。

子どもたちがプロジェクトをお手伝い

こどもサポーターのかずまくんとしほちゃん

こどもサポーターとご家族の感想をご紹介!

[しほちゃん家]
「廃食油の問題は、学校で習って興味を持ちました。今回、思っていたよりたくさん油が集まり、少しでも環境にいいことができて気持ちがいいなと思いました」と話してくれたのは、小学4年生のしほちゃん。お母さまからも、「油の処分が面倒で、今まではあまり揚げ物をする機会がありませんでしたが、今後はもっと気軽に揚げ物ができそうです」と前向きなご意見をいただきました。

[かずまくん家]
4歳のかずまくんは、油をペットボトルに入れるお手伝いしたそう。「以前から揚げ物はよくするほうでしたが、油の処分が手間でした。手軽に処分できるようになり、とても助かります」と、お母さまも笑顔で語ってくださいました。

廃食油回収の導入に尽力した関係者の声

サポートマネージャーの吉田さんと管理組合理事の向井さん、齋藤さん

導入前より暮らしが快適に

廃食油回収を実施するにあたり、住民の方々に積極的に呼びかけ、実現に向けて準備を進めてきた〈Brillia 多摩センター〉管理組合理事の皆さまと東京建物アメニティサポートのサポートマネージャーに、実際に取り組んでみた中で見えてきたことをお聞きしました。

齋藤さん「廃食油の処分については、『処分が面倒』『捨て方がわからない』という声が以前から多く寄せられていたので、今回の提案は願ってもないチャンスでした。回収方法についてはいくつかの懸念点もありましたが、そのままペットボトルに入れてゴミ置き場に持って行くだけというハードルの低さが、多くの住民に受け入れられた理由だと思っています」

向井さん「活動を始めてみてわかったのは、システムさえあれば住民の方々も積極的に協力してくださるということ。ごみ置き場を管理する清掃さんからも、導入前は燃えるごみの中に混ざっていた油がこぼれて清掃が大変だったのが、導入後はその手間がなくなったとの声をいただいています」

上野さん「子どもたちを起用した動画ポスターをはじめ、複数のメディアを使って、迅速に周知できたことが結果に結びついたと思います。特に子どもたちが積極的に関わり、家族や友人に働きかけてくれたことで、全体のムードづくりにもつながりました」

吉田さん「導入にあたり、管理会社としては回収方法をどうするかを重点的に話し合いましたが、懸念よりむしろ『やったほうがいいよね』という反応のほうが大きく、意識の高さがうかがえました。理事会の皆さまとも一体となって進められ、スムーズな導入につながったのだと思います」

広がる“すてないくらし”

最後に、今回のプロジェクトの推進メンバーである東京建物 住宅エンジニアリング部の担当者にも話を聞きました。

幸地さん「東京建物ではこれまで、オフィスビルや商業施設における廃棄物削減の取り組みを進めてきましたが、回収規模の小さい住宅部門では、体系的な施策が進んでいませんでした。

そこで、Brilliaオーナーズクラブの会員の皆さまを対象に、環境への意識やごみの分別に関するアンケートを実施してみたところ、『仕組みがあればやってみたい』という声が多数寄せられたのが今回のプロジェクトの発端です。〈Brillia 多摩センター〉の方々の協力を得て、検証してみた結果、予想を上回る反響があり、かなりの手ごたえを感じました。

〈Brillia 多摩センター〉では現在では毎月平均して約35〜45kgの廃食油が回収されています。油を固める手間もなく、そのままペットボトルに移し替えて回収ボックスに入れるだけという手軽さがいいですよね。今後導入する物件では専用の回収容器での回収を予定しています」

水村さん「廃食油の回収は今後、新築マンション含めさまざまな規模のマンションでも実施できるよう、回収方法を工夫しながら導入を進めていく予定です。既に実施している廃食油・衣類・生活雑貨の回収に加え、新たな取り組みにもつなげていけたらと思っています」

東京建物 住宅エンジニアリング部 幸地さん、水村さん

Brillia 多摩センター[530戸、2007年竣工/分譲済]

〈Brillia 多摩センター〉での事例はさまざまなメディアにも取り上げられ、同様の取り組みが他のマンションにも広がりつつあります。東京建物グループは、入居者や管理組合の皆さまと協力し合いながら、さらなる廃棄物の削減およびCO2排出量の削減を目指し、循環型社会の実現に向けた歩みを進めていきます。