スパイスの名前は知っていても、料理に使うとなると難しいと感じることも。そのハードルを飛び越えると普段の料理がワンランクアップ。個性を知って使いこなす、スパイス使いのヒントをお届けします。
Photographs:Yuko Kawashima
クミンはカレーに欠かせないスパイスですが、肉や野菜、チーズ、パンなど、素材との相性を選ばず、世界各地の料理に広く使われています。クミンシードを煎って煮出すと、麦茶のような香ばしい味わいのクミンティーに。
ジャガイモをゆでてつぶし、クミンパウダー、塩、オリーブオイル、レモン果汁を加えて混ぜ合わせたポテトサラダは、パンに挟んで食べても美味しい。ゆで卵にはクミンと塩をかけるのがモロッコ流。
クミン(cumin)…別名:ジーラ、馬芹(うまぜり)・原産地:エジプト・部位:種子
胡椒は熟成や加工の仕方でホワイトペッパー、ブラックペッパー、グリーンペッパーに分かれます。粒から粉末まで、挽き具合で表情が変わり、あらゆる料理に活躍。ぴりっとした辛みと香りが食欲をそそります。
ベトナムやカンボジアでは、ライムやレモンを搾って、塩・胡椒と合わせた爽やかな風味のタレが定番。ゆで鶏やシーフードにかけたり、つけダレとして使ったり。フォーやスープに添えれば「味変」が楽しめる。
ペッパー(pepper)…別名:胡椒・原産地:インド・部位:果実
米や魚介類と好相性でパエリアやビリヤニなどに使われるサフラン。1つの花から1本しかとれないめしべを集めた、高価なスパイスです。インドやイランではデザートの色付けや風味付けにもよく利用されます。
水切りしたヨーグルトに砂糖や蜂蜜、コンデンスミルクなどで甘みをつけ、サフランを水に浸して色を出したものをかけたら、インドのデザート、シュリカンドが完成。
サフラン(saffron)…別名:蕃紅花(ばんこうか)・原産地:南ヨーロッパ、西アジア・部位:めしべ
香りの王様やスパイスの女王とも呼ばれるカルダモンは、お菓子やパンの香り付けによく使われています。アラブ諸国ではコーヒーのフレーバーとしてもポピュラー。紅茶に入れたり、バニラアイスクリームにかけたりしても。
食べやすい大きさにカットしたフルーツにカルダモンパウダーを振りかけるだけで、エキゾチックな香りのデザートに。
カルダモン(cardamomn)…別名:ショウズク・原産地:インド、スリランカなど・部位:果実、種子
カレーをはじめ、多様な料理の下ごしらえや色付けに用いられるターメリックは、土っぽい独特な香りとほろ苦さが特徴。健康効果が高いとされ、ホットミルクにターメリックを溶いたゴールデンミルクが話題に。
100%のキャロットジュースに牛乳とターメリックパウダーをブレンド。自然の甘みが感じられる味わいで、体に優しいドリンクは夏バテ対策にピッタリ。
ターメリック(turmeric)…別名:ウコン・原産地:インド、熱帯アジア・部位:根茎
教えてくれたのは
口尾麻美さん
料理家・フォトエッセイスト。世界各地を旅して出合った食材や料理からインスピレーションを得たレシピを、書籍や雑誌、料理教室などで提案。昨年、世界のローカルフードとお酒を楽しめる「HAN(ハン)」をオープン。