【インテリアの冬支度】 #2 北欧に学ぶ、心地よい灯り

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  • 公開日:2025.12.10

冬の間、長い夜が続く北欧。そこで育まれてきた照明文化は、空間を明るくするだけでなく、日々の暮らしを心地よく整える工夫に満ちています。今回は、北欧を代表する照明ブランド〈ルイスポールセン〉が提案する、灯りで日常を豊かにするヒントをお届けします。

北欧と灯りの関係

光とともにある北欧の暮らし

日本よりも高緯度に位置する北欧諸国では、冬になると昼間の時間が極端に短くなります。例えばデンマークでは、朝8時を過ぎてもまだ薄暗く、15時には日没を迎える時期も。太陽が高く昇らず、どんよりとした日が続くこともしばしば。そんな気候だからこそ、「光をどう採り入れるか」が暮らしの質を大きく左右し、豊かな照明文化が育まれてきました。

デンマークでは、日の出前と日没後に空が深い青に染まる「ブルーアワー」が長く続く。特に日没後は、周囲が徐々に暗くなるのに合わせて一つずつ灯りを点け、自然のリズムと調和するように光を重ねていく習慣がある。

ルイスポールセンの哲学

1874年にデンマークで創業した〈ルイスポールセン〉が大切にしてきたのは、「光をかたちづくる」という考え方。光そのものを“素材”として捉え、人が心地よいと感じる光を追求してきました。デザインは、造形の美しさのためではなく、機能を実現するためにある。これはデンマークデザインの本質ともいえます。

ルイスポールセンの哲学を体現する名作が、ポール・ヘニングセンによる「PHランプ」。緻密に設計されたシェードの曲線がまぶしさを和らげ、やわらかく人に寄り添う光を生み出している。

光を見直し、より居心地のいい住まいに

POINT 1
一室多灯で奥行きと安らぎを

POINT 1
一室多灯で奥行きと安らぎを

日本の住まいは部屋全体を均一に照らす傾向があります。家は本来くつろぐ場所ですが、オフィスや商業施設のように明るすぎる空間では、心理的に休まりません。

北欧では一室に複数の灯りを組み合わせるのが一般的です。ランダムに置いてあるように見えても全てに意味があり、必要な場所に必要な灯りがあるため、不便さは感じさせません。小さな灯りを点在させることで陰影が生まれ、空間に奥行きと安らぎがもたらされます。

POINT 2
光の広がり方(配光)を知る

照明器具の形や素材によって、光の広がり方は異なります。配光によって、❶下向きに光を集中させて手元を照らす「タスクライト」、❷光を周囲や上方に広げて空間を包み込む「アンビエントライト」、❸両方の性質をあわせ持つ「タスク&アンビエントライト」に分類されます。

タスクライトだけでは暗く、アンビエントライトだけではメリハリのない空間に。シーンに合わせて組み合わせることで、くつろげる雰囲気が生まれます。

POINT 2
光の広がり方(配光)を知る

POINT 3
暮らし方に合わせて配置を決める

POINT 3
暮らし方に合わせて配置を決める

自分や家族が家の中のどこで何をして過ごしているのかを振り返ると、自然と「ここに灯りがほしい」という場所が見えてきます。ダイニングには食卓を照らすペンダント、ソファでの読書には手元を照らすフロアスタンドなど、まずは目的に沿ったタスクライトを配置。

そのうえで、アンビエントライトを足して雰囲気づくりを。アンビエントライトは部屋の中央ではなく、隅や壁際に置くのがおすすめです。壁に反射した光が拡散することで、空間に広がりを感じられます。

TIPS

自分の暮らしに合う灯りを見つける第一歩

まずは、部屋の照明を一度すべて消してみましょう。そこから、必要な場所に灯りを一灯ずつ足していくことで、空間の表情が変わっていくのを実感できるはずです。“光の島”の重なりから生まれる奥行きのある照明空間をぜひ体験してみてください。

近年はポータブル照明も充実しています。ライフスタイルに合わせて灯りを持ち運ぶのもおすすめです。模様替えで家具のレイアウトを変えるように、照明も自由に楽しみましょう。

照明は家具以上に空間の雰囲気を変える力を持っています。北欧の暮らしをヒントに、この冬はまず一つ灯りを加えてみませんか。家の中で過ごす時間がより心地よく、豊かなものになるはずです。

  • INFORMATION

    ルイスポールセン

    1874年、デンマークに創業した照明ブランド。“Design to Shape Light(光をかたちづくる)”を理念に掲げ、著名なデザイナーとともに、時代を超えて愛される高品質な照明を作り続けている。東京と大阪の直営店では、ルイスポールセンならではの光の美しさと心地よさを、実際の空間で体感できる。
    www.louispoulsen.com