【インテリアの冬支度】#1 くつろぎを生む、冬のしつらえ

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  • 公開日:2025.11.12

寒さが深まる季節は、あたたかな家の中で過ごす時間が自然と長くなります。冬の住まいでより心地よく過ごすための工夫とは?今回はディスプレイデザイナー・みつまともこさんのご自宅を訪ね、インテリアの視点から「冬支度」のアイデアを伺いました。

Photographs: Yuko Kawashima

冬のおうち時間を楽しむためのインテリア術

POINT 1
ファブリックを替えて、季節感を演出

「我が家の冬支度は、布ものから始まります」とみつまさん。衣替えをするように、ソファに掛ける布をウールのブランケットに替えたり、クッションカバーを起毛素材のものに替えたり。大きな面積を占めるファブリック類を取り替えることで、空間全体の印象ががらりと変わります。

「ファッションブランドのストールを、ブランケット代わりにインテリアに取り入れるのもおすすめです。色や柄のバリエーションが豊富なので、部屋に合うものが見つかりやすく、使い勝手もいいんですよ」

POINT 2
部屋着もインテリアの一部として選ぶ

「インテリアファブリックの中には部屋着も含まれる」というのが、みつまさんの考え。そこで過ごす人の装いひとつで、部屋の雰囲気も変わってきます。季節感のある素材をセレクトするのが◎。

「自分自身の気分を整えるためにも部屋着は大切です。“部屋着だからなんでもいい”ではなく、“気持ちよく過ごせるものを選ぶ”ことが、家時間をより豊かにしてくれるのだと思います」

POINT 3
植物で住まいに季節を取り込む

ファブリックと並んで、季節のしつらえとして大切なのがグリーン。みつまさんは普段から花屋に立ち寄り、季節の植物を取り入れているといいます。特に秋冬は枝ものや実ものを選ぶことが多いそう。中でもオレンジ色の実が可愛らしいツルウメモドキがお気に入りなのだとか。

「枝ものは長持ちするので、一緒に生ける花だけを取り替えながら、長く楽しんでいます。飾る場所は視線が集まるところに。我が家では、オープンキッチンのカウンターの上が定位置です」

POINT 4
炎の灯りでつくる穏やかな時間

秋から冬にかけての長い夜に寄り添うのは、キャンドルの灯り。みつま家では、夕食時に食卓にキャンドルを灯して照明の一部として使っています。来客時に灯せば、おもてなしの演出としても効果的。アロマキャンドルを焚いて香りを添えることも。

「夕食時にキャンドルを灯したら、食後はそのままリビングへ移動して団らんの時間に。お酒を片手にくつろぎながら、ゆったりとした会話を楽しんでいます」

POINT 5
季節の飾りは段階的に整えていく

冬はクリスマスやお正月などイベントが盛りだくさん。秋口から飾りを少しずつ増やして、雰囲気を高めていくのがみつまさん流です。まずはひとつ冬らしい小物を置いて、徐々に足していきます。クリスマス本番にはツリーを飾り、終わったあとは一部を入れ替えてそのままお正月モードに。

「飾りを一度に変えようと思うと準備や片付けが大変ですよね。生活必需品ではない分、無理のない範囲で楽しむのがコツ。玄関や入り口の対角線上など、“視線が集まりやすい場所”を飾るのがディスプレイの基本です」

PICK UP

冬の景色をつくる、暮らしの道具

冷え込む季節に恋しくなるのが、体をあたためてくれる飲み物。みつま家のティータイムには、ガラス製のポットが欠かせません。お湯を注ぐと立ち込める湯気、刻々と変化する水滴の形、お茶が抽出されて生まれる琥珀色のグラデーション。そんな様子を眺められるのも透明なガラスならでは。ガラスのポットを使うと、お茶を淹れる時間そのものが、少し特別なものに感じられます。

「季節に合わせてインテリアのしつらえを変えると、自分だけでなく家族の気分も新たになる」というみつまさん。特に冬は、香りや灯り、肌触りなど五感に響く工夫をして、家の中を心からくつろげる空間に整えているといいます。小さな工夫で、冬のおうち時間はより心地よく過ごせるはず。みつまさんの冬支度をヒントに、ぜひご自宅も整えてみてください。

  • PROFILE

    みつまともこさん
    ディスプレイデザイナー

    多摩美術大学デザイン科卒業。実践でウインドウディスプレイを学んだ後に独立。現在はショップ・企業のイベントなどのディスプレイや撮影のスタイリングを手がけるほか、各媒体で心地よい暮らしの整え方を紹介している。著書に『暮らしの図鑑 ガラス』『飾る暮らしの作り方』(ともに翔泳社刊)がある。
    https://www.mitsumatomoko.com/
    Instagram @mitsumatomoko