【とっておきのティータイムを】
#2 おうちで楽しむアフタヌーンティー

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英おうちで楽しむアフタヌーンティー

アフタヌーンティーというと高級ホテルのラウンジやティールームで楽しむイメージがありますが、本来は自宅でゲストを招いて行うものでした。正式なアフタヌーンティーには約束事や必要な道具がたくさんありますが、自宅で気軽に始めるためのポイントをご紹介します。

Photographs: Yuko Kawashima

茶器を揃える

アフタヌーンティーの主役ともいえるティーセット。テーブルにティーセットを並べるとアフタヌーンティーの雰囲気がグッと高まります。

《ティーセット》

《ティーセット》

最初に揃えたいのがティーカップ・ソーサー・ケーキプレートの「トリオ」。同じデザインで参加者の人数分を揃えるとよりフォーマルに。季節に合わせたデザインを取り揃えるとコーディネートがはかどります。

《セッティング》

ケーキプレートは席の正面に、ティーカップ&ソーサーはケーキプレートの右上にセッティング。ティーカップはハンドルを右に向け、ハンドル側にティースプーンを置きます。カトラリーはナイフ1本でもOKです。

《セッティング》

TIPS

気軽なティータイムに活躍する
「スナックセット」

1人で手軽に楽しみたい場合は「スナックセット」という選択肢も。ケーキプレートとソーサーが一体となった簡易的なティーセットで、20世紀初頭にテニス観戦のために考案されたため「テニスセット」とも呼ばれています。

ティーフーズと
茶葉を用意する

アフタヌーンティーは、セイボリー・スコーン・ペイストリーを軸としたティーフーズに、数種類の紅茶をペアリングして楽しみます。

《ティーフーズ》

❶セイボリー

❶セイボリー

塩気のある軽食のことで、アフタヌーンティーではきゅうりのサンドイッチが定番です。紅茶と一緒にいただくティーサンドイッチは、薄くスライスしたパンに具材1種類のみを挟んでひと口サイズにカットしたもの。

❷スコーン

❷スコーン

英国菓子を代表するスコーン。上手に焼けたスコーンは「wolf’s mouth(狼の口)」と呼ばれる割れ目が側面にできていて、手で上下2つに割ることができます。ジャムとクロテッドクリームを添えて。

❸ペイストリー

❸ペイストリー

パイやタルト、ケーキなど甘いお菓子のこと。ひと口で食べられるフィンガーサイズが会話を妨げずおすすめです。紅茶の香りを楽しむため、強い香りやスパイスを用いたものは避けましょう。

《茶葉》

紅茶の主成分はワインと同じタンニン。ワインを選ぶようにティーフーズに合わせて茶葉をセレクトし、ペアリングを楽しみましょう。茶葉は産地の気候風土によって個性があるため、産地名がそのまま銘柄として使われています。

茶樹の系統を大別するとアッサム系と中国系に分けられ、セイボリーに合うのはタンニンが少なく、すっきりしている中国系。アッサム系はタンニンが多く、ペイストリーとの相性が◎。スコーンにはフレーバーティーを合わせるのもおすすめです。

紅茶を淹れる

紅茶をおいしく淹れるには5つのゴールデンルールがあります。少量をおいしく淹れるのは難しく、イギリスでは約2杯分(350ml)が1人前とされています。

RULE 1
良質の茶葉を使う

良質とは保存が適切にされて鮮度の良い状態を指します。開封後は密閉・遮光できる容器に移し、冷暗所に保存を。

RULE 2
ティーポットを温める

沸かしたお湯をティーポットに注ぎ、ティーポットを回して全体を温めてからお湯を捨てます。

RULE 3
茶葉の分量を量る

ティースプーン山盛り2杯の茶葉を使います。ティーカップ1杯につきティースプーン山盛り1杯(約3g)が目安です。

RULE 4
沸騰した水道水を使う

水に酸素を含ませるため、勢いよく出した水道水350mlを使い、必ず沸騰させてからティーポットに注ぎます。

RULE 5
茶葉を蒸らす

ティーポットカバーとティーマットを使ってティーポットを保温しながら、茶葉を約3分蒸らします。

TIPS

ティーバッグでおいしく淹れるコツ

手軽さが魅力のティーバッグ。ちょっとしたコツを押さえると、リーフティーのような香りと風味が引き出せます。

POINT 1

ティーバッグが浮いてしまわないように、お湯を注いだカップにティーバッグを静かに滑り込ませます。

POINT 2

ソーサーなどで蓋をして1〜2分蒸らします。ティーバッグを振ると雑味が出てしまうため、静かに引き上げましょう。

お気に入りのデザインの茶器を集めたり、好みの茶葉を探したり、おいしい淹れ方を追求したり……。アフタヌーンティーの楽しみ方はさまざま。興味のあることから入って少しずつ掘り下げていくと、奥深い世界が広がっています。

  • PROFILE

    藤枝理子さん

    英国紅茶・アフタヌーンティー研究家

    大学卒業後、ソニー株式会社ビジネス企画部に勤務。結婚後、紅茶好きが嵩じてイギリスに紅茶留学。帰国後はサロン形式の紅茶教室「エルミタージュ」を主宰。現在、テレビ・雑誌などのメディアで活躍するほか、大学の非常勤講師や企業のコンサルタントも務める。『仕事と人生に効く教養としての紅茶』(PHP研究所刊)など著書多数。
    https://hermitage-web.wixsite.com/salon