大人の美食旅オーベルジュの魅力
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近年、地域の風土・文化・歴史を皿の上に表現する「ローカル・ガストロノミー」への関心が高まり、宿泊施設を備えたレストラン「オーベルジュ」が続々とオープンして注目を集めています。本特集では、オーベルジュの魅力を紐解き、辿り着くまでの時間も含めて楽しむ豊かな休日の過ごし方をご提案します。
琵琶湖の湖畔に佇むオーベルジュ「ロテル・デュ・ラク」。その中にあるレストラン「SOWER」では、琵琶湖や日本海の魚、近隣で捕れるジビエをメインに、その日に手に入る食材で組み立てたコース料理を提供する。この日の一皿は琵琶湖で捕れたブラックバスの熟成刺身。グリーントマトと塩漬けチリのソースをかけて。
風土を感じる料理。
湖北地方の風土が育んだ食文化を再定義。
目指すのは、"ここにしかない食"。
琵琶湖の北端に位置する滋賀県・湖北地方には、発酵・醸造や伝統漁など、古来の食文化が残されています。「ロテル・デュ・ラク」内にあるレストラン「SOWER(ソウアー)」が表現するのは、この地ならではの気候風土や歴史文化。周辺の生産者から届く旬の食材を、自由な発想と斬新なアイデアで独自性あふれる料理へと昇華させ、新たな食文化を発信しています。
琵琶湖国定公園の中に立つ「ロテル・デュ・ラク」。豊かな自然と地形を生かした約4万坪もの敷地を有し、「見晴らしの丘」からは、琵琶湖に浮かぶ竹生島の絶景を望む。
料理を提供する前には、これから使う食材を見せてゲストに楽しんでもらう。約1週間熟成させたブラックバス(左)と小鮎(右)はどちらも琵琶湖の伝統漁法・魞漁で捕れたもの。
銘酒の世界観に触れる。
酒造りの町にひっそりと佇む一軒宿で、蔵元が醸す酒と料理の饗宴を堪能。
九州を代表する日本酒「鍋島」の蔵元・富久千代酒造が手がけるオーベルジュは、230余年の歴史を持つ茅葺屋根の商家を修復・リノベーションし、上質な空間へと仕上げた一棟貸しの宿。日本酒・料理・器が三位一体となったマリアージュを愉しめるほか、杜氏や蔵人の案内で酒蔵を見学でき、日本酒の奥深さを体感することができます
[左]コース仕立ての夕食は、佐賀をはじめとする九州の山海の幸を使い、一品ごとに工夫を凝らした日本料理。30種類以上ある「鍋島」とのペアリングを楽しめる。 [右]有田・伊万里・唐津など、陶磁器の名産地としても知られる佐賀県。オーナーが収集した名品が料理を引き立てる。
「御宿 富久千代」のある肥前浜宿は、江戸時代から酒造りが行われてきた宿場町。今でもその姿を残す町並みは、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されている。
[左]地元で長く愛されることを目指して造られた「鍋島」。五感を優しく刺激しつつ、体になじむ自然体の味わいが魅力。
[右]宿泊者は通常非公開の酒蔵見学が可能。市場に出回っていない「鍋島」を試飲することも。
食の力による地域活性。
廃校となった小学校を再構築し、
新しい感性で里山の可能性を切り拓く。
日本遺産に認定された「石の文化」が根付く石川県観音下町で、過疎化により廃校となった小学校がオーベルジュとして生まれ変わりました。里山の自然が育んだ四季折々の食材を使った料理や、現地で制作されたアート作品を通じて、この地の魅力を伝えます。館内には気軽に立ち寄れるカフェやレンタルスペースも併設。貴重な地域資源を活用し、官民連携で地域の活性化を目指しています。
2018(平成30)年に閉校となった旧西尾小学校。約半世紀にわたり、地域の子どもたちを育み、見守り続けた。
[上段]気鋭のシェフ・糸井章太氏がこの地ならではの素材を生かし、自由な発想と感性で届けるお任せコースを味わえる。 [中段]教室や図書館、音楽室として使われていた場所が客室に。
[下段左]館内の各所に現代芸術家・小川貴一郎氏の作品が飾られ、アートに親しむことも。 [下段右]近くには、国会議事堂などの近代建築に用いられている日華石の石切り場がある。高さ50m以上の石壁が見どころ。
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01
ロテル・デュ・ラク
滋賀県長浜市西浅井町大浦2064
電話:0749-89-1888
全15室
1泊2食付 約30,000円〜/室
https://www.lhotel-du-lac.com -
02
御宿 富久千代
佐賀県鹿島市浜町乙2420-1
電話:0954-60-4668
1棟貸し(1日1組限定、最大4名)
1泊2食付 88,000円〜/人 ※連泊不可
食事のみ 24,200円〜(サ込) ※要予約
https://fukuchiyo.com -
03
オーベルジュ オーフ
石川県小松市観音下町口48
電話:0761-41-7080
全12室 1泊2食付/2名1室
37,500円〜(サ込)
https://eaufeu.jp