アイテム編(1)|日常の延長でできる!「わざわざ買わない」防災グッズ

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  • 公開日:2026.04.09

災害に備えて専用の防災用品を買ったのに、気がつけば使用期限や消費期限が切れてしまっていた。そんな経験はありませんか?「防災=専用のアイテムを揃えること」だと思ってしまうと、それがかえって負担になり、備えが続かなくなる原因に。防災は「日常の延長」として続けてこそ力を発揮します。今回は、無理なく続けられる備え方をご紹介します。

「専用」より「代用」で無理なく続ける

市販の防災セットは魅力的ですが、「この中に本当に自分に必要なものが入っているのかな?」と感じることもあります。買っただけで満足してしまい、気づけば使わないまま期限が切れてしまうことも、実は珍しくありません。しかも、使い慣れていないアイテムは、特に非常時には扱いにくいこともあります。

私は特別なものを買うより、「普段から使っているものを少し多めに買っておく」という考え方を大切にしています。使い慣れているものなら迷わず使えますし、ローリングストックのように日常で消費しながら入れ替えていけば、「備えられている状態」が自然と保てます。

家の中のものを工夫して使う

防災というと「専用のアイテムを買いそろえなければ」と思いがちですが、実は家の中のもので代用できるものも意外と多いのです。たとえば、45リットルのゴミ袋は防災グッズとして優秀。雨具にも、簡易トイレにも使えますし、段ボール箱と組み合わせれば水を運ぶバケツの代わりにもなります。

大切なのは、身近なものをどう生かせるかを、日頃からイメージしておくこと。災害時は普段と違う状況に焦ってしまいますが、人は「普段やっていること」しかできません。だからこそ、日常生活の中で実際に試しておくことが重要になります。

防災の目標は、できるだけ早く日常の暮らしに戻ることです。一度でも使ってみることで、被災時にも落ち着いて対応できる準備をしましょう。

新聞紙で簡易スリッパを作ってみよう

私が考案した「新聞足袋」も、家にあるもので用意できる備えの一つです。新聞紙を何重にも重ねて足全体をすっぽり包むので、瓦礫を踏んでも突き抜けにくく、足をしっかり守ってくれます。ぜひこちらの動画を参考に、一度作ってみてください。

夜間の就寝中に大きな地震が起きた事例も少なくありません。もし寝室にガラスの破片が散乱してしまった場合、裸足で歩けばたちまちケガにつながります。最低限、スリッパや代わりになるものを寝室に置いておくことをおすすめします。

自分の「好き」を備えに加える

防災用品というと「命を守る道具」に意識が向きがちですが、心を落ち着かせるための備えもとても重要です。避難所に行っても、そこで続くのは生活。不安や緊張が続くと、判断力や体力も落ちてしまいます。

私はお気に入りのアロマオイルや飴を防災用品としてストックしています。好きな香りや味だとホッとできますし、非常時でも冷静さを取り戻す助けになります。

小さなお子さんの場合も同じです。普段よく遊ぶおもちゃや大好きなお菓子があるだけで、不安が和らぎ、泣く時間も減ります。その分、周りの大人も落ち着いて行動できるようになります。

EXPERT’S NOTE

まずは一度やってみる。
そこから備えは進化する

防災グッズは「買ったら終わり」ではありません。実際に使ってみることで、はじめて「これは本当に必要だな」「これはちょっと使いにくいかも」と気づくことができます。災害現場では、準備していない人ほど慌ててしまい、冷静な判断が難しくなる場面をたくさん見てきました。防災とは「日々アップデートしていくもの」だと考えています。試して、見直して、工夫する。その積み重ねが、あなたの判断力や応用力を育ててくれます。

  • PROFILE

    辻 直美さん
    国際災害レスキューナース

    一般社団法人育母塾 代表理事。国境なき医師団の活動で上海に赴任し、医療支援に従事。帰国後は看護師として勤務する中で阪神・淡路大震災を経験し、実家の全壊をきっかけに災害医療の道へ。国際緊急援助隊医療チーム(JMTDR)で救命救急に携わり、レスキューナースとして活動。現在はフリーランスナースとして、国内各地で講演や防災教育を行い、要請があれば被災地支援にも従事。著書に『レスキューナースが教える 最強版 プチプラ防災』(扶桑社刊)など。