【巨大建造物を訪ねて】
#2 ⼈⼯物と⾃然の共演を楽しむ

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巨大建造物を訪ねて

巨大な構造物がもたらすダイナミックな景観を楽しむのもインフラツーリズムの魅力の一つ。壮大なスケール感や造形美と、雄大な自然との組み合わせが堪能できるスポットをご紹介します。

北アルプスの
大自然に抱かれた
巨大アーチダム

水を堰き止める堰堤(えんてい)の高さ186m、総貯水量2億立方メートルという日本最大級、世界でも有数の規模を誇る黒部ダム。間近に見るとその雄大さを体感することができます。毎秒10t以上の水が噴き出す放水は大迫力。黒部ダムは中部山岳国立公園内を横断する立山黒部アルペンルートにあり、標高1,508mの展望台からはダムを眼下に望むとともに、立山連峰をはじめとする北アルプスの大パノラマが楽しめます。

迫力満点の観光放水は必見。レインボーテラスでは放水を間近に見られ、風向き次第で細かなミストが届くことも。

ダム展望台から外階段を降りると黒部ダムの高さを実感。高さが変わるにつれてダムを取り巻く景観も表情を変えていく。

満水時には湖面の標高が1,448mとなるダム湖。日本一高所の遊覧船「ガルべ」は1周30分かけて周遊する。

世界初の三連つり橋と、多島海景が織り成す絶景

古くから海の難所として知られる来島(くるしま)海峡。複雑な地形がつくる潮の流れは速く、複雑に変化します。そのため、来島海峡に架ける橋の建設には、瀬戸大橋や明石海峡大橋などの建設で培われてきた当時の最先端技術が結集されました。約9年の歳月をかけ、1999年に今治市街と大島を結ぶ総延長4.1kmの3連つり橋が開通。瀬戸内海国立公園の景勝地に位置するため、来島海峡大橋は自然の景観に調和する優美な姿となっています。

来島海峡大橋へつながる自転車・歩行者専用のループ橋。サイクリストの聖地として親しまれている「瀬戸内しまなみ海道」の一部。

つり橋を支える主塔の頂上は高さ約180m。エレベーターで上がることができ、島々と行き交う船による箱庭のような多島美を望む。

連続した曲線を描くケーブルや空へ伸びる6基の主塔など、景観に配慮された設計。大島から武志島(むしじま)、馬島を中継して今治につながる。

  • INFORMATION

    来島海峡大橋

    所在地:愛媛県今治市−大島
    画像提供:今治市観光課

現代アートにより
再生した観光トンネル

マ・ヤンソン/MADアーキテクツ 「Tunnel of Light」  Photo by Osamu Nakamura

日本三大峡谷の一つに数えられる清津峡。険しい岩肌とエメラルドグリーンの流れによる渓谷美を楽しむための観光トンネルが、20年以上の時を経て「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2018」でアート作品「Tunnel of Light」として生まれ変わりました。全長750mのトンネルを外界から遮断された潜水艦に見立て、外を望む潜望鏡として途中に見晴所などを設置。終点のパノラマステーションには、四季折々の清津峡の景観を反転させて映し出す幻想的な光景が広がっています。

季節や時間帯、天候によってさまざまな顔を見せる清津峡。冬季は岩壁と雪のコントラストが見事。
photo by Osamu Nakamura

第3見晴所「しずく」。作品内の各スポットは、それぞれ自然の五大要素「木・土・金属・火・水」をテーマにつくられている。
photo by Nacasa & Partners Inc.

終点のパノラマステーションからの眺め。清津川を挟んで切り立つ岸壁には、マグマが固まってできた柱状節理が見られる。