端材をアップサイクル!
マンションの共有部を彩るアートが誕生

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端材をアップサイクル!マンションの共有部を彩るアートが誕生

品川区の中心に位置し、3路線が乗り入れるアクセスに優れた「大井町」駅。駅周辺ではバリアフリー化や災害に強く環境に配慮した街づくりが進んでいます。大規模再開発により注目を集める大井町エリアに、地上14階建、総戸数95戸の賃貸マンション〈Brillia ist 大井町〉が完成しました。本物件独自の、環境に配慮した取り組みをご紹介します。

制作協力:甲村ハウジング
アート作者:中野正也・田仲倖雪 

造作材の製作過程で発生した木っ端でアート制作

竣工を翌月に控えた2023年12月、内装仕上げ工事が進む〈Brillia ist 大井町〉のエントランスホールに、事業主である東京建物の社員をはじめ、設計・施工関係者など本物件に携わる有志が集まりました。造作仕上げ材を製作する際に発生した国産木材の廃材を活用し、エントランスホールを彩るアート作品をつくり上げようという試みです。

会場には関係者数十人が集まり、各々手を動かして作品づくりを楽しんだ

作品を構成するのはエントランスホールの壁の一角にネジで取り付けられた191のブロック。エントランスホールのしつらえであるデザインウォールとカウンターに用いた北海道産タモ材のほか、スギ材やヒノキ材といった国産木材の端材を素材としています。参加者が好きなブロックを選んで壁から取り外し、側面に思い思いの色を塗り、再び取り付けることで作品として完成します。

小口にはみ出さないようにと練習して臨む方や、DIYは得意と慣れた手つきの方も

塗料はひまわり油などを原料とした植物由来の自然塗料で、合成樹脂をベースにしたペンキとは違って木の呼吸を妨げず、無垢材本来の手触りや表情を残せるのが魅力です。用意されたカラーは青・緑・茶色・クリア。色を塗ったブロックを壁に戻す際はバランスをみて場所を入れ替えても。徐々に色付きのブロックが増え、作品の表情が豊かに。

刷毛で色を塗った後に乾いた布で表面に残った塗料を拭き取ると、木目や艶感が出る

住むことが環境への貢献になるマンション

アートに用いられたブロックはもちろん、エントランスホールのしつらえなど、本物件では国産木材を積極的に採用しています。国産木材の活用は、木を植える・育てる・使う・植えるという「森林サイクル」を保つために有効です。日本は国土の約2/3を森林が占め、その約4割が人工林という環境。適切に森林を管理することで森林の持つ働きが発揮され、自然災害の防止やCO2削減につながります。

北海道の代表的な広葉樹のタモは、木目の美しさやナチュラルで淡い色合いが魅力

本物件には他にも環境に配慮した工夫を随所に取り入れています。屋上には4台の太陽光パネルを設置し、太陽光発電した電気を共用部で利用。蓄電池も備えているので災害時の電源としても活躍します。駐車場や車止めのブロックに用いた環境配慮型コンクリートは、製造時に大量のCO2を吸収・固定するというもの。内装材にも、コーヒーショップの使用済みのコーヒー豆などを原料としたリサイクル内装ボードを採用しています。

エントランスホールの照明など共用部で使う電力の一部を太陽光発電で賄っている

アートが環境への意識を広げる手段になる

今回のアートプロジェクトの発案者は、〈Brillia ist〉シリーズの立ち上げから携わり、本物件を含め10物件を手がけている設計者・デザイナーの中野正也さん(野生司環境設計)。国産木材を活用する手段を考えていた時に、意匠材の製作過程で生じた、捨てられてしまう木っ端材を利用して、意味のあるアートがつくれるのではないかと思い至ったといいます。

端材の木目の出方はさまざまで、二つと同じものがなく表情が豊か。エレベーターホールにはメインのアートと対になるアート(作者:田仲倖雪、作品名:group of buildings)が設置されている

「国産木材を使うことが環境への貢献にどうつながるか、意外に知られていないなと。単に購入した国産木材のアートを設置して『国産木材を使いました』とするより、廃材を使った方が環境への意識や効果を生み出せると思ったんです」と中野さん。さらに、個人の自己表現としての作品ではなく、建物をつくるプロセスと同じように、できるだけ多くの関係者による「気持ちの総体」としての作品にしたいと思ったとのこと。

参加者にとっても、木材利用に関する意識向上の機会になればと語る中野さん

独特の形状はマンションの敷地を森にするイメージから生まれたそう。「敷地の形をデザインに取り込んでいて、ちょうど中央がエントランスホールのある場所なんですよ」。作品タイトルは「on-site」。siteには「敷地」という意味があり、on-siteには「その場で、現地で」という意味があるのだとか。敷地形状をモチーフに、その場でつくり上げた作品ということがストレートに表現されています。

多くの関係者の協力によりアート作品が完成。作品は〈Brillia ist 大井町〉に暮らす方が日々目にするエントランスホールに設置されています。身近なアートに思いを巡らせることで、環境への意識が広まるきっかけになるのではないでしょうか。

Brillia ist 大井町
https://www.brilliaist.com

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※本ページに記載の内容は、2024年1月時点の情報です。