オーラルケア

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  • 公開日:2023.06.20

口の中の環境は全身の健康に影響を及ぼし、将来のQOLを左右する重要な要素ですが、日本人の予防歯科への意識は十分ではないといいます。今回は、人生100年時代に身につけておきたいオーラルケアの新常識を歯科医師に聞きました。

監修:生澤右子(いくざわ ゆうこ)先生(歯科医師・歯学博士)
日本のオーラルケアに世界との隔たりを感じ、株式会社Dental Defenseを設立。講座やセミナー、商品開発などを通じて世界標準のオーラルケアを発信する。近著に『歯と口を整えるアンチエイジング〜自宅で毎日できるセルフケア!』(ビジネス社刊)がある。

口内の細菌のバランスを整えて健やかに暮らそう。

腸内と同じように、口の中にもさまざまな細菌が存在。歯磨きが不十分だったりするとそのバランスが崩れ、むし歯や歯周病につながります。近年では、歯周病が糖尿病や脳梗塞、心筋梗塞などの要因となることもわかってきました。適切なオーラルケアで、体の玄関である口腔内の状態が、悪いほうに傾かないようにすることが重要です。

口内の細菌のバランス

歯科医院での定期的なプロケアと毎日のセルフケアで予防歯科を実践。

日々の歯磨きだけではプラーク(歯垢)が落としきれなかったり、歯石やステイン(着色)は歯磨きでは落とすことが難しかったりするため、歯科医院でのクリーニングが必須です。クリーニングの頻度の目安は3カ月に1度。定期的に通院することで、むし歯や歯周病などの早期発見にもつながり、ひどくなってしまう前に治療をしてもらうことができます。

定期的なプロケアと毎日のセルフケア
歯磨きのツール

複数のツールを使う、世界標準のオーラルケア

染め出し剤

ポイント1

「染め出し剤」でプラークを見える化

きちんと歯磨きをしているつもりでも、磨き残しが多いとむし歯になってしまいます。歯磨きの目的は「プラークを取り除く」こと。プラークは白く、歯と見分けがつきにくいため、染め出し剤でプラークを染めて視認すると効果的に磨くことができます。

染め出し剤は液体や綿棒、タブレットなど、さまざまなタイプがあり、薬局などで購入可能。使いやすいものを選んで。

フロスと歯間ブラシ

ポイント2

「フロス」と「歯間ブラシ」は毎日使うもの

歯は1本1本違う形をしていて、隣の歯との位置関係も全て異なります。複雑な歯の並びを歯ブラシ1本でなぞるのは難しく、歯ブラシだけでは6割ほどしかプラークを取り除けません。フロスや歯間ブラシを併用することで8割以上になります。

歯と歯の接触具合や、歯ぐきの下がり具合によって使うべき道具が変わるため、選び方や使い方がわからない場合は歯科医院で相談を。

タフトブラシ

ポイント3

「タフトブラシ」で効果的に磨く

毛束が一つだけでヘッドの小さなタフトブラシは小回りが利き、プラークを効率よく除去できます。普通の歯ブラシでは毛先が届きにくい歯と歯の間や、歯と歯ぐきの境目の清掃に最適。普通の歯ブラシの代わりに使うか、仕上げ磨き用に取り入れたいアイテムです。

毛先がドーム状になっているタイプが、磨き残しやすい歯と歯ぐきの境目のカーブにフィットするのでおすすめ。

フッ素

ポイント4

「フッ素」は歯に塗る薬と心得る

むし歯を予防する効果があるフッ素配合の歯磨き粉を使っても、歯磨きの後に口をゆすいだり、すぐに飲食したりすると効き目がありません。泡が立たないジェルタイプの歯磨き粉を使うか、ゆすぐ場合は、おちょこ1杯程度の水にし、歯磨き後2時間は口を休ませましょう。

歯磨き粉選びはフッ素濃度が重要。1,450ppmF(6歳以上の場合)の高濃度のフッ素配合歯磨き粉を使って、フッ素を有効活用。
※年齢に合った濃度のものを選びましょう。

就寝前が最重要!

就寝時は唾液の分泌量が減り、口腔内の細菌が増殖しやすいため重点的に。

大事なのは磨いている歯をよく見ること。テレビを見ながらやお風呂に入りながらでは、歯ブラシを的確に当てられないため、せっかくの歯磨きの効果が薄れてしまいます。

セルフケアの流れ

ステップ1

染め出し剤を使って、磨くべきところを見える化

ステップ2

フロスや歯間ブラシで歯と歯の間を掃除

ステップ3

タフトブラシに何もつけず、鏡を見ながら1本ずつ磨く

ステップ4

口をゆすいで、染まっているところがないか確認
磨き残しがあれば再度磨いて口をゆすぐ

ステップ5

歯ブラシに高濃度フッ素入り歯磨き粉を2cmほどつけて、歯に塗ったら口をゆすがず、吐き出す

朝食後は普通の歯ブラシと高濃度フッ素入り歯磨き粉で歯磨き。
昼食後や間食後もなるべく歯磨きを。難しければ口をゆすぐだけでも◎。
週に3回程度、舌ブラシを使って舌の汚れ(舌苔)を除去しましょう。

※この記事は、会報誌Brillia 110号(2023年6月発行)より再編集した記事です。