心地よい香りを、日々のそばに。

  • 公開日:2026.09.30

香りは目には見えなくても、ふとした瞬間に気持ちをほぐしたり、気分を切り替えたりしてくれるものです。「大切なのは、自分が“気持ちいい”と感じる香りを選ぶこと」と話すのは、ボタニカルパフュームブランド「SCENT OF YORK.(セントオブヨーク)」を手がける山藤陽子さん。今回は、香りがいつも身近にあるという山藤さんのアトリエ兼ご自宅を訪ね、香りとの付き合い方や、日々の暮らしに生かすアイデアを教えていただきました。

Photographs: Yuko Kawashima

もっと自由に、
香りと付き合う

香り選びは、自分の「気持ちいい」を大切に

植物から生まれる天然の香料だけを使った香水を手がけ、暮らしの中でも精油などを愛用している山藤さん。一方で、香りを選ぶときに大切なのは、何より自分自身の感覚だといいます。

「部屋に入ったとき、心地よい香りがすると気持ちがほぐれますよね。私自身、長く“気持ちいいこと”を基準にものを選び、紹介する仕事をしてきました。香りも同じで、ブランドなどにこだわるより、自分が気持ちいいと思うものを選んでいただくのが一番だと思っています」

また、心地よいと感じる香りは、その日のコンディションによって変わることも。

「今日はラベンダーがいいな、と感じる日があったりします。自分では疲れていないつもりでも、実は少し休みたいのかもしれない。そのときに惹かれる香りに目を向けることで、自分でも意識していなかった気分や状態に気づくこともあるんです」

必要なとき、必要な場所に香りを届ける

香りを暮らしに取り入れるというと、ディフューザーなどを置き、部屋にいつも香りを漂わせるイメージがあるかもしれません。けれど、山藤さんのスタイルはもっと自由です。

「ずっと同じ場所に同じ香りがしていなくてもいいと思うんです。香らせたいときに、香らせたい場所だけで楽しむ。それくらい気軽でいいんじゃないかな」

たとえば、お客様を迎えるときには、インターホンが鳴ったら玄関にアロマミストをシュッとひと吹き。扉を開けた瞬間、ふわりと漂う香りとともにゲストを迎えているそう。

窓越しの緑は、ジャスミンサンバックやベルガモットなど。香りを楽しめる植物を育てている。

今日からできる、
香りの取り入れ方

迷ったら、3種類の精油から

精油を使ってみたいけれど、たくさん種類があって、どれを選べばいいかわからない。そんなときの入り口として山藤さんがすすめるのが、まず3つのタイプを揃えること。

「柑橘系と、華やかな香り、ハーバルな香り。この3種類だとバランスが取りやすいです」

たとえば、柑橘系ならオレンジ、華やかな香りならゼラニウム、ハーバルな香りならラベンダー。それぞれ単独で使うのはもちろん、その日の気分や好みに合わせてブレンドすることもできます。

「柑橘系をひとつ入れると、まとまりやすいんです。組み合わせによって香りの表情も変わるので、いろいろ試してみてくださいね」」

お湯に数滴。それだけでも十分

精油を香らせるのに、専用のディフューザーは必要ありません。

お気に入りの少し深めの器に熱めのお湯を張り、精油を数滴加えるだけ。蒸気とともに香りが広がります。

「わざわざ専用のものを用意しようとすると、ハードルが上がりますよね。仕事中なら、あまり使っていないマグカップにお湯を入れて精油を垂らし、デスクに置くのも手軽です。飲まないように気をつけてくださいね」

普段の家事にも、好きな香りを

山藤さんは、掃除の時間にも精油を活用しています。

水拭きするときには、バケツの水にティーツリーやペパーミント、レモンなどの精油を数滴。布を浸して固く絞り、テーブルなどを拭きます。

「掃除をしながら好きな香りが広がるので、気持ちがいいですよ」

また、重曹と精油を組み合わせる方法も。容器に入れた重曹に好みの精油を垂らし、靴箱やトイレなどに置いておきます。香りが薄くなったら精油を足し、香りを楽しんだあとの重曹は掃除に活用。

お茶の香りにも、目を向けて

暮らしの中で楽しめる香りは、香水や精油のように「香らせる」ものだけではありません。普段口にしているお茶などにも、豊かな香りがあります。

取材の日、山藤さんが振る舞ってくれたのは、炭酸水に紅茶のポーションを注いだティーソーダ。目の前で紅茶を注ぐと、炭酸の気泡とともにお茶の香りが立ち上ります。

新たに香りのアイテムを用意しなくても、身近なものの香りに意識を向けるだけで、日々の楽しみ方は広がります。

茶葉を熱することで、香ばしい香りが立ち上る茶香炉。山藤さんのアトリエには、香りにまつわるさまざまな道具が揃う。

日々のさまざまな場面で、香りを大切にしている山藤さん。「いい香りをそばに置いてあげること。それは目には見えないけれど、お守りのようなものでもあり、自分を表現するものでもあり、気持ちのスイッチを入れてくれるものでもある。私にとっては、ジュエリーのような存在だと思っています」

香りに求めるもの、心地よいと感じる香りも、人それぞれ。難しく考えず、まずは自分が「気持ちいい」と感じる香りを、身近なところから暮らしに取り入れてみてはいかがでしょうか。

  • PROFILE

    山藤陽子さん

    ライフスタイルコーディネーター。YORK.(ヨーク)代表。上質で気持ちいい暮らしと生き方をテーマに、ブランドコンサルティングや商品企画・開発など幅広く活動。パフューマーとして、施設の空間デザインやプロダクト、舞台演出のための調香も行う。東京・南青山にアポイント制のサロンを構え、2021年よりパフュームブランド「SCENT OF YORK.」を展開している。
    https://york-tokyo.com/

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