2025年 住宅・コミュニティづくりで5件受賞

  • 公開日:2025.11.07

2025年度は、東京だけでなく、名古屋や大阪のBrillia、また、老朽マンションを活かしたアートゴールデン街など幅広い地域とカテゴリで選出されました。

Brillia Tower 箕面船場 TOP OF THE HILL(大阪府箕面市)[写真左上]
アートゴールデン街(東京都渋谷区)[写真左下]
Brillia 名駅二丁目(愛知県名古屋市)[写真右]

Brillia 深沢八丁目(東京都世田谷区)

かつての邸宅および幼稚園の記憶をアートに昇華し、建築計画と並行してアートのあり方をデザイン、地域の桜並木に調和する構造計画や日本最先端の環境性能に取り組んだ集合住宅。本物件は、ZEH-M(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス・マンション)シリーズ最高ランクの『ZEH-M』基準に適合する物件としては日本で初めて竣工した大規模建築物です。

【評価コメント(原文)】

地域の歴史や景観に対するリスペクトが、さまざまな取り組みとなって現れ、デザインに結びついている。数々のアートワークは日常の生活動線沿い、それも内外にわたり配置され、多彩である。そしてなによりも桜並木の補完を意図した植樹は地域住民に直接的に関連するものとして重要である。この取り組みは、フリーライダーを避け、真の意味で地域社会に参画する姿勢を示している。

Brillia 名駅二丁目(愛知県名古屋市)

名古屋駅徒歩6分という立地に位置しながら、大通りから一歩奥まった閑静で落ち着いた場所に誕生した総戸数48戸の単身者向け集合住宅。「都市の棲家」をコンセプトに、外観は大都市に呼応するシャープでエッジの効いたデザインとし、内部は住空間としての洗練さと安心感を提供する計画としました。

【評価コメント(原文)】

世帯構成が多様化する中で、分譲集合住宅でありながら、都市における単身者居住に着目し、キッチンを中心に据えた住戸プランを提案したことは評価できる。奥行きのあるキッチンカウンターは、調理のみならず、ダイニングカウンターとして、ワークデスクとしてなど、さまざまな使い方の可能性がある。今後さらなるデザインの検討がなされ、単身世帯の生活の豊かさ向上に寄与するデザインとなることを期待している。

Brillia Tower 箕面船場 TOP OF THE HILL(大阪府箕面市)

北大阪急行線が延伸され新設された新駅からペデストリアンデッキにて直結する総戸数397戸の集合住宅。基壇部は千里緑地との繋がりを生かし、高層部は現代的素材を用いることで新駅誕生を機に未来へと進化していく街を象徴するデザインとしました。

【評価コメント(原文)】

端正な外観が美しい集合住宅である。ディテールも丁寧に設計され、また平面計画も、個室の数で価値を訴えるといった従来の評価軸とは別次元で計画されている点に好感が持てる。いわゆるタワーマンションは、長期的な社会情勢や経済状況の変化にいかに追随できるかが今後課題になるだろうが、この計画は、駅前という立地と相まって、こうした課題にも柔軟に応えられそうな可能性を示してくれている。余計な間仕切りを行わず可能な限りシンプルな平面構成にしていること、水回りをコンパクトに集約していることなど、将来的に様々な用途にも転用できそうな計画である。今後のタワーマンションのベンチマークになりそうである。

Brillia ist 池尻大橋(東京都世田谷区)

渋谷駅へ1駅3分と渋谷が生活圏内にあり、中目黒、代官山を暮らしの中に取り込むことができるエリアに位置する総戸数197戸の賃貸集合住宅。「クリエイティブハウス」をデザインテーマに据え、「Brillia ist」シリーズとしては初となる、楽器演奏やゲーム実況等が可能な防音住戸に加え、共用部のサウンドルームや屋上菜園を備えたルーフトップガーデンを整備しています。

【評価コメント(原文)】

シンプルなグリッド状のフレームの中にも、ガラス面やバルコニー、僅かなフレームの凹凸といった「揺らぎ」がもたらされ、大変美しいファサードが創出されている。このニュートラルでありながらも均質化には陥らない佇まいは、周辺環境にも穏やかに溶け込むデザインとなっている。また住戸プランも、防音仕様や可変性に主眼を置いたタイプなど、多様な構成となっており、街が本来持っている魅力を十分に反映した計画となっている。共用部も、トレーニングジムやワーキングブースなど、実用的な用途が充実しており、大いに活用されて、住人同士を繋ぐ役割も果たすことだろう。実にバランス感覚の優れた設計である。

アートゴールデン街

解体待ちの老朽マンション一棟を活用し、国内外アーティスト約70組と共創するアート展を開催。ビル1棟の各部屋や共用部分も含めて創作し、20日におよぶ会期で約7,000人の来場者を呼び込み、アーティストの表現を通じて解体予定ビルの在り方に一石を投じ、閑散とした周辺地域に色どりや活気を生み出しました。

【評価コメント(原文)】

高度成長期ストックの更新期の解体案件が増加し、解体待ちの空白の増す空洞化や治安不安などの地域課題に対して、ディベロッパーという立場を活かした暫定利用の魅力的な取り組み。解体町のビル一棟まるごと地域に開き、空白の“期間”を地域に還元し、大きなスケールとインパクトをもって“期間の空白”を価値化している。近隣合意や安全管理まで担い、仮囲い活用や他物件への横展開を見据えた運用の型を示している。これを一過性のイベントで終わらせず、継続・展開する一連の取り組みとして期待したい。

会期:2025年1月9日(木)~1月28日(火)
※展示は終了しています。