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京都の「町家」が人気を集める理由 マガザンキョウトさんを訪ねてきました

京都探訪第二弾は、京都で「泊まれる雑誌」としてウェブや雑誌で人気を集めている「マガザンキョウト」です。1日1組だけ限定の空間に泊まり、オーナーである岩崎達也さんに話を伺ってきました。

築100年超の建物を「泊まれる雑誌」としてリノベーション

京都二条城の近くに周辺の街並みに溶け込みながら、リノベーションによって新たな魅力を生み出した町家があります。オーナーは岩崎達也さん。東京の企業で勤務経験のある彼がなぜ京都の町家を選び、「泊まれる雑誌」を運営することになったのでしょうか。

2016年5月にここをオープンしました。東京で6年位働いていましたが、私自身は兵庫県出身、いずれ関西に戻りたいと思っていました。京都を選んだ理由は「京都カルチャー」という独自の魅力があるうえ、妻が京都出身ということもありました。実は東京にいるときから欧米のビンテージ雑貨を取り扱う雑貨店を友人と一緒に京都で始めたりしていました。
まずクリエイティブ・エージェンシーの京都支社でプロデューサーをしながら副業として始めました。社員として働きながら、そこで培った大小さまざまな企業とのPRプロジェクト、そしてオフィス兼サービス空間の建築担当など、今の仕事につながる経験をしました。

もともと「雑誌」が大好きで、手の届く距離のかっこいいことや素敵なものを見せてくれるところが魅力でした。それをもっと立体的にしてみたらと考え、見て、触って、使って、買って、さらに泊まる。そんな五感をフルに使って京都を体験できる空間を作りたいと思いつきました。
築100年以上の町家に出合いリノベーション。空間型の雑誌はその想いや体験を通して伝えるメディアになり得るんじゃないかと考え、宿泊、体験、展示、雑貨販売をする複合施設としてマガザンキョウトを作りました。兼業が認められていたので、はじめは2足の草鞋でしたが、今は独立、法人化も果たしました。

世界と日本、そして地元の京都がつながるHUBとしての役割

マガザンキョウトは世界各国からのゲストも集まるうえに、京都ならではの地元の行事の会場にもなるという、いろいろな表情を持っています。また様々なクリエイターたちとのコラボレーションの場にもなっています。その理由についても聞いてみました。

京都の独自のローカルカルチャーは世界から注目されています。そこに世界中から才能のあるクリエイターやおもしろい人たちが集まる仕組みがあればと考えました。僕の主な収入源は、ディレクターとして、マーケティング、ブランディング、ウェブサイトや空間・イベントなどの企画・制作ですが、この場所での出逢いが仕事につながることも多いです。
また京都で長く歴史を積んできた企業や技術が世界と結びつく場所として、HUBとしての役割も担えたらと思います。そんな結びつきで生まれた商品もたくさんあります。また京都の地元のカルチャーを様々な側面から体験してもらう場としても機能したいと考えています。

たとえば昨年、一昨年と地蔵盆(※)をここで開催していますが、そのきっかけになったのはアメリカから新婚旅行で来てくれた家具職人の夫婦です。夫婦が地蔵盆に興味津々で、一緒に参加したら地元の皆さんも大歓迎。それなら次の年からはマガザンキョウトを会場にしようということになりました。京都は一見間口が狭いようですが、実は新しいものをどんどん取り入れる『新しいもの好き』な場所でもあります。人を介して地域に根ざし始められているグローカルな場所になりつつあると思っています。

「驚きの余白を残す」…クリエイティブのヒントになる空間

建物の隅々にまで行き届いた心配りが感じられる空間を作った岩崎さん。建築学科を出たわけではないのに、なぜマガザンキョウトのような素敵な空間を作ることができたのでしょうか。

東京で働いているときに夏休みにニューヨークに行きました。友人のシェアハウスに滞在していたのですが、その時に出会った人たちに刺激されました。みんな好きなことをして生きている…好き放題をする楽しみを知ってしまったというか。その勢いで25歳の時に東京の中古マンションを購入、好きなように思い切りリノベーションしてみたら、それが人気雑誌のリノベーション特集の表紙になりました。自分が心地良い空間を作ったことで、みんなに褒められた…それがものすごい達成感になりました。
仕事でも『好きな人と、好きな場所で、好きなことをする』っていうのが、自分の一番やりたいことだってわかったんです。その先に今の仕事の取り組み方がつながったという気がしています。

もともとインテリアやモノに対するこだわりがありました。そこに人との出会いから生まれる場づくりへの興味、それがうまく組み合わさって働いていると思います。マガザンキョウトのインテリアのテーマカラーはグレイですが、それも全ての色を含んだグレイです。
どんなものでも受け止める幅広さがあって選びました。モノづくりでも、場づくりでも、受け止める人によって、表情を変える『余白』が大切だと思っています。ここで泊まってもらい、じっくり手に取ってもらったり、向き合ってもらうことで、新たな発見をしてもらいたいと思っています。
幸いなことに、クリエイティブのヒントを見つけるきっかけになったという話も耳にします。そんな人たちと一緒に、新たな『好きなこと』を見つける空間になればと願っています。

<取材を終えて>

SNSやウェブサイトを軽々と使いこなして世界の人とつながりながら、地元の人たちにもしっかり受け入れられている岩崎さんに、次世代のコミュニティの在り方を学ぶ気がしました。また個人商店から大企業まで「一緒に楽しいことをしよう」とする場づくりとして、町家の空間が受け止められていることに共感しました。Bloomoiも「好きなことを実現する」ということに貢献できるプロジェクトを目指したいと刺激されました。

マガザンキョウトのこだわりのポイント

  • 1階のスペースは特集に応じたイベントが開催される。隣接するキッチンには滞在する人が
    自由に使えるバルミューダのトースターなど、こだわりの家電が用意されている。
  • 袋綴と呼ばれるミニギャラリーは、以前この建物が牛乳屋だった時の冷蔵庫。
    閉じられた小さなスペースが飾られるものを印象的に見せる。
  • 1階には小さなバスルーム。たくさん揃えられたアメニティグッズは驚くほどの品ぞろえ。
  • 創館当時から階段には「タイムトラベルブックシェルフ」と題した本棚を設置。
    1960年代から10年置きの棚が用意され、その時代を象徴する本やニュースを連想させる本などが並ぶ。
  • 2階には、岩崎さんの視点で選ばれた雑貨や衣類が並ぶ。空間の基調になるのはグレイ。
    C(シアン)M(マゼンダ)Y(イエロー)K(ブラック)のすべての色が含まれた、
    さまざまな表情を持つ岩崎さんが創りだしたエディトリアルグレイ。
  • 国内外の宿泊ゲストからご近所さんまで、多彩な人が集まる場所であり、
    雑誌としての機能も育ってきたタイミングで「館内広告」を募集。
    様々なジャンルの10社&プロジェクト。どれも魅力的で自然と注目が集まる。
  • 宇治の昇苑くみひもに別注しているお茶缶。
    正絹(シルク100%)糸で結われた1本のくみひもから作られた茶筒。
    たった1人の職人しか生産できない貴重な品、マガザンキョウト別注色「漆黒」を限定販売。
  • 「気持ちのよい暮らしの導線を。注意書きにだってユーモアを。そして空間に物語を」
    友人と一緒にトナカイサインズという「サイン(標識)」を作成するチームを結成。
    あちらこちらにウィットに富んだサインを見つけられる。
  • 明治時代から飲み続けられている日本のソウルドリンク「ラムネ」を、オリジナルラベルで作成。
    マガザンキョウトのアイデンティティの一つであるハニカム型を取り入れたデザインは、
    並べて置いた時に連続柄になるという点もポイント。
  • ひびが入ったり、割れたりした陶器でも、金継ぎを施すと、新たな景色が生まれる。
    同じものが1つとして存在しない特別なものになる。
  • マガザンキョウトが位置するのは京都でも機屋が集まるという西陣エリア。
    西陣織を現代感覚で生かしたクッション。

マガザンキョウト

マガザンキョウト> 公式サイトはこちら

触って、使って、泊まって、買える。
五感をフルに使ってカルチャーを体験できる空間 『マガザンキョウト』。
宿泊は1日1組、京町家一棟が貸切。毎シーズンごとに特集として公開イベントを開催しています。

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